福祉国家・コーポラティズムとイノベーション:フィンランドを事例として

完全凍結したトーロー湾(2011年3月@Helsinki)
完全凍結したトーロー湾(2011年3月@Helsinki)

 新興国の産業が高度化し,先進国と競合し始めている状況に対して,コスト競争に陥ることなくイノベーション創出により対応することは,先進国の雇用と産業にかかわる枢要な課題です.

 米国や日本をはじめとする多くのOECD諸国が,新自由主義的な規制緩和政策によってそれを実現しようとし,貧困・所得格差や金融不安定性などの問題を生み出しているのと異なり,北欧諸国が多大な葛藤と苦慮を経験しつつも,基本的には福祉国家体制を維持し,イノベーション創出においても高い成果を誇っていることは特筆に値すると思われます.もちろん経済危機と移民・難民問題は,福祉国家体制に対する巨大な圧力となっており,今後の変容を注意深く追跡する必要があることもまた事実です.

 

 だからここに.福祉国家の社会経済諸制度とその変容がイノベーション成果といかに関係しているのかを明らかにするという研究課題が浮上します.そこで,北欧,特にフィンランドのイノベーションシステムを,以下の5つの次元で分析する研究を進めています.

(1) 技術者の人材管理と開発組織の特質と変容

(2) 技術者・技能者育成の社会的仕組み

(3) イノベーション政策の特質とその変容

(4) 福祉国家/ネオ・コーポラティズム的制度配置の含意と進化

(5) オフショア開発の実態とその影響

*(1)(3)(5)の,日本での実態については,研究室学生諸氏と一緒に調査研究を進めています.

*(1)(3)については,フィンランドの研究者と共同で,比較調査研究に取り組んでいます.


Resources

*科研共同研究によるパイロット調査の簡単な報告は,リンク先にあります.

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高等教育に関するパイロット調査報告
スカンジナビア・ニッポン・ササカワ財団の助成を受けて2011年9月に実施した,現地調査の簡易版報告.
Education.pdf
PDFファイル 126.4 KB
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EUとフィンランドのイノベーション政策
科研共同研究で実施した現地調査の報告.ただし研究会報告レジュメ.
論文として投稿する準備はできている.
Tokumaru_120701.pdf
PDFファイル 346.0 KB
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フィンランドにおけるイノベーション政策の変容:進化プロセス・ガバナンス型政策の出現
進化経済学会(2013.3)報告論文.
修正の上,研究ノートとして『北ヨーロッパ研究』第10巻への所収が確定済み.
徳丸_JAFEE_2013.pdf
PDFファイル 2.9 MB
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EU・フィンランドにおけるイノベーション政策の新展開: 「進化プロセス・ガバナンス」型政策の出現とその可能性
科研共同研究の報告書として執筆.改稿の上,書籍所収論文とする予定.
未確定稿なので引用はお断りしますが,コメントを頂けると有り難いです.
報告書_徳丸.pdf
PDFファイル 632.1 KB
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フィンランドにおける新たなイノベーション政策とその組織体制: 分厚い「媒介的組織」とその意味
2016年度北ヨーロッパ学会研究大会での報告予稿.
未確定稿なので引用はお断りしますが,コメントをいただけるとありがたいです.
2016北ヨーロッパ学会予稿改訂版.pdf
PDFファイル 577.8 KB

Transforming the Role of Public Policies for Innovation: Governing the Evolutionary Process (May 30, 2016). Available at SSRN: http://ssrn.com/abstract=2786437

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公開セミナー「生活と仕事:フィンランドと日本」(2018/3/14 名古屋工業大学)の記録
講演および質疑応答のテープ起こしによる記録です.引用される場合は,引用元と書誌情報を明記していただくようにお願いいたします.
公開セミナー起稿原稿.pdf
PDFファイル 5.2 MB
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フィンランドにおけるベーシックインカム社会実験とその射程
社会経済システム学会(@静岡大学工学部・浜松)での発表資料です.フィンランドという特殊な文脈でベーシックインカムを考察してみると,考えてみるべき普遍的な問題が姿を現します.もちろん,日本での適用を考える場合にも重要に違いありません.
社会経済システム学会_20181028.pdf
PDFファイル 4.7 MB
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フィンランドにおける普遍主義の特質とベーシックインカム社会実験
柴山由理子氏(東海大学)との共同研究.北ヨーロッパ学会での報告資料です.フィンランドのベーシックインカム構想が過去の特殊な普遍主義の延長線上にあること,そして,その可能性と限界について論じています.
柴山・徳丸_北ヨーロッパ学会プレゼン.pdf
PDFファイル 3.1 MB