服部茂幸『新自由主義の帰結』(岩波新書)

福井県立大の服部さんが,以下の本を出された.

小著にもかかわらず,盛りだくさんの内容で,なおかつクリヤーです.

19世紀の資本主義ならともかく,現代資本主義では自由放任主義は機能しない,というのが,ケインズの議論だと私は理解しますし,それが服部さんの議論の骨格にあります.

ぜひ,広く読まれて欲しいと思っています.

 

服部茂幸『新自由主義の帰結 ―なぜ世界経済は停滞するのか』
224ページ, 岩波書店,2013年。

まえがき―経済危機と新自由主義経済学
第1章 新自由主義とは何か
1 ケインズ主義から新自由主義へ
2 新自由主義の理論と政策
3 新自由主義の理論的問題
4 第二の大恐慌は新自由主義の帰結
第2章 経済復活という幻想
1 資本主義のルールが変わった
2 バブルと負債に依存するアメリカの経済成長
3 アメリカの「失われた四〇年」
4 日本の「実感なき好景気」
5 新自由主義は何に成功したのか
第3章 カジノ資本主義と頻発する金融危機
1 新自由主義経済学と金融危機の時代
2 金融危機を引き起こした技術革新
3 危機を拡大させるFRB
4 金融危機を引き起こした理論の欠陥
第4章 グローバル・インスパイラル
1 二つの世界的なインバランス
2 グローバル・インバランスと住宅バブル
3 問題解決できない国際通貨システム
第5章 金融危機から財政危機へ
1 広がる財政危機
2 共和党保守派の放漫財政
3 第二の大恐慌における財政悪化の原因は何か
4 日本の財政危機の原因は何か
5 財政悪化と新自由主義
終章 新自由主義を超えて
1 新自由主義のレジームのオーウェル的世界
2 新自由主義の犯罪
3 アメリカの「失敗」から学ぶべきこと
参考文献
あとがき