アジア諸地域は大きな社会的矛盾を抱えつつも,グローバル化するイノベーションシステムの中に組み込まれることによって発展の糸口をつかんできました.
とは言え,巨大な潜在市場を内包しているアジア諸地域は,先進国向けイノベーションの安価な「下請」拠点から,アフリカも含む新興国向けイノベーションの実質的拠点に変容する兆候も見受けられます.そのことは,いわゆる「リバース・イノベーション」概念が示唆する通りです.
なぜイノベーション拠点としての発展が可能になったのか?知識生産のいかなる仕組みを備えているのか?いかなる段階まで発展が進んでいるのか?こうした発展は,イノベーションにおける国際分業にどのようなインパクトを与えるのか?
これらの問題について考えるために,上記動向の最前線の一つと考えられるインドIT産業を事例にして実証研究を行っています.
グローバル化という文脈の中で,東・南アジアの経済発展をどう捉えるべきかについて論じた本です.どうぞご一読下さい.
Hirakawa, H., Lal, K., Shinkai, N. and Tokumaru, N. eds.
徳丸宜穂, 新興国知識集約型産業の高度化と能力構築:聞き取り調査と質問紙調査によるインドIT企業の実証分析(一橋大学経済研究所,2013年3月)