アールトによる図書室 (Kansaneläkelaitos, Helsinki)

研究紹介

 先進諸国はもちろん後発国でも,雇用創出や社会問題の解決に向けて,おしなべてイノベーションを重視していることは,言うまでもありません.問題は,各国が「いかに」イノベーションを生み出そうとしているかであると思われます.私はこの問題に対して,以下のように,進化経済学・制度経済学の観点から接近しようとしています.

 

 古典派政治経済学は,富の生産とその分配の研究として生まれてきました.だから,政治経済学の問題意識を現代的に継承するとすれば,重要な研究課題の一つは,イノベーションを生みだし,普及させ,その利益を分配する制度的仕組みについて研究することだと考えられます.企業内に技術・製品開発が深く制度化されている以上,必然的に,企業内の制度的仕組みをも深く探究する研究にならざるを得ません.この課題は現在では,進化経済学・制度経済学が継承しているものに他なりません.

 

 そうした観点から,目下のところ,(1)-(4)のような研究をしています.

 

 しごく大雑把ですが,(2)・(3)は,技術・製品開発拠点(=エンジニアの雇用が創出される拠点)がグローバル化していることに関する研究で,(1)・(4)は,先進国とその社会・経済・企業がそうした傾向に対して行う「適応」に関する研究だと位置づけています.特に(1)においては,広義の福祉(welfare)とイノベーション創出を両立させる,新自由主義的ではない対応の可能性を探ることに焦点を当てています.


(1)福祉国家の社会経済体制とイノベーション:フィンランドを事例として


(2)インドIT産業におけるエンジニアの労働・管理・組織と地域産業集積


(3)東アジアの技術・製品開発とエンジニアの労働・管理・組織


(4)東・南アジア進出日系製造業の「現地化」と本国での対応